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  • 執筆者の写真ishmojiko

黒【過去記事】


先日友人と黒について話しました。「喪服は女性を綺麗に見せる」なんて言いますが「黒」ってどんな色なんだろう。そんな話を。

ish の外壁はほぼ黒一色。いやぁ~なかなかの入りにくさです(^_^;) 皆様意を決して扉を開けてくださり本当にありがとうございます(_ _) 笑

友人から言われて、あ!そうだったと思い出したんですが、路面店としてオープンした当初は扉のみ黒で外壁は白だったんです。今では考えられないほど真っ白でした。しばらくそのスタイルで営業していましたが、ずーーっと違和感があって、、ペンキの乾きやすい季節におもいきって全面黒に塗りました。



なぜ黒を選んだのか。

実は子供の頃はあまり好きな色ではありませんでした。なんだか暗いイメージがしたし、どんな色も黒を混ぜると最終的には黒になってしまう、、そんな支配してしまう感じ?がどうも好きになれない。クレヨン12色の中では黒はいつも背高のっぽのままでした。

「黒」あまり好きではなかったものの、同時にどこか特別な色という感覚が幼い私にはありました。黒を手にする時、黒を選ぶ時はなんとなく緊張する自分がいたし、気合いが入る感じがしました。そういえば息子が小さい時よく読み聞かせしてあげていた一冊が「くれよんのくろくん」。絵本の題材になるほど黒ってちょっと個性強し、、なのかもしれません。


さて黒を敬遠していた幼い頃の私ですが、ある時衝撃的な出来事が起こったんです。幼稚園の頃か小学校の頃か定かではないんですが、絵を描く授業があってクレヨンをいっぱい使う授業でした。まず赤や黄色、青や緑色。。。さまざまな色で画用紙を埋めていって、その上からなんとなんとそのキレイな色たちを黒で塗りつぶしていくというもの。黒敬遠の私からしたら「黒さんよ!なんてことしてくれてんねん!」です(>_<) 大丈夫なんだろうか。。半信半疑で作業を進める私に先生が言い渡したのは、一面黒一色となった画用紙に釘のようなもので好きな絵を描いてごらんでした。おそるおそる黒をひっかくようにすると黒の下からさっき確かに描いた色とりどりのクレヨン、それはそれはキレイな色たちがひょっこりはん(゜.゜笑)したのです。あの感覚はかなりの衝撃で幼い私を文字通り釘付けにしました。わくわくしながら夢中で釘を走らせ、画用紙いっぱいの絵を完成させたのを今でも覚えています。

この出来事をきっかけに黒も悪くない。。という許す気持ちが芽生え(←偉そうw)雪解けのように黒に対して身構える気持ちが薄れていきました。



そんなこんなで話を戻しますと、そうそう、お店の外壁になぜ黒を選んだのか。。でしたね。

お店を始めて最初の二年はビルの二階でした。その当時内壁はグレー、青緑、一部に黒が入ったタイル柄の壁紙、、店内で黒といえばレジカウンターとして使っていた黒の木棚ぐらいでした。それでも要所要所で黒を取り入れていたせいか今のお店で黒を多用していることに皆さんなんの違和感もないそうです。ishといえばとイメージする色が赤紫やワインレッドという声も多いんですが、やはり黒というイメージをお持ちの方は大変多いようです。


そんな中冒頭で触れた友人がぽつりと「ishって、黒のイメージなんですけど黒じゃないんですよね~」と言いました。なぬ?黒だけど黒ではない??とっても気になるではないか~詳しく聞かせておくれやし~。彼女はish に来る時、入る時の感覚を「洞窟に入る感覚」と表現します。最初にその話を聞かせてもらった時は、予想だにしない表現になになにそれってどんな感覚?と前のめりになって話を聞かせてもらったものでしたが、、その彼女が今度は「ishは黒だけど黒ではない」と言うのです。またもや興味深い。洞窟であって黒が黒ではない、、、天空の城ラピュタに出てくるポムじいさんなのか!「すまんがその石をしまってくれんか、わしには強すぎる、、」そんな世界がishにはあるのか! (すみません、ジブリで一番好きな作品なんでちーと興奮してしまいました 笑 )


話を戻しますと彼女が言うには、「暗い洞窟の中に光がさすような、ろうそくの光のような、、、逆に白とか柔らかい色で黒を包むイメージ」なんだそう。

ほほう、、

そこでふと思い出したのが我が家の息子のこと。息子の名前、漢字二文字でその内の一文字に「惺」という漢字が入ります。この「惺」という漢字。その意味は、つくりに星の字があることから「澄みきったキレイな夜空に輝く星」、周りにある暗闇があるからこそ星の輝きもより鮮明に、またその部首に心を表わすりっしんべんが付くことで「心穏やかに、本当に大切なことは何かを見極める聡明さ」といった息子に名前負けせんように頑張っておくれ~と願わずにはいられない(^_^.)笑 なかなかの意味を持つのですが。。

澄みきった夜空の深い深い暗闇があるからこその星の輝き、ってところが息子を想うと私たち夫婦にはとても腑に落ちるところがありまして、暗闇=黒、その黒が決して暗い暗いイメージでもなければ冷たいイメージでもない、どちらかというと包み込むような寛大さ、穏やかにそこに在るといったイメージで、輝く星はギラギラ光るイメージではなくて静かに控えめに瞬くイメージ、でもたしかな存在感で輝いているイメージとしてこの字をとらえ、息子の名前の一字としました。



この感覚がish で表現したい「黒」なのかな。。。どこか温かみのある包み込むような、黒があるからこそ活きてくる他の何か、そして他に何かが在ることによって活きてくる黒、そんな黒が表現したいのかな。。。

そんな風に思うのです。



そう思うと「黒」って実に深い。。

あの頃妙に好きになれなかった裏には、もしかしたらそれが持つ深さをなんとなく感じていたからこそ幼い私には手におえない感じがして好きになれなかったのかもしれませんね。

その魅力に気づきつつある私ですがいまだ使いこなすには至らず、「黒を極める」にはまだまだ時が必要のようです。__ish

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